人知れぬ恋をしすまの浦人は
泣きしほたれて過ぐすなりけり
- 歌の意味
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人知れぬ恋をする身は、須磨の浦人が潮に濡れるように、泣き濡れて日々を過ごすのであった。
- 鑑賞
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巻第十一 異本歌 694
人に知られない恋をする者は、須磨の浦人が潮水に濡れて暮らすように、泣き濡れて日々を過ごすのだった、と詠む歌である。須磨の海辺に住む人の姿に、ひそかな恋に涙する我が身を重ねている。
本歌は、本集の伝本のうち異本にのみ見える歌で、異本の配列では、本集の巻第八の第四百二十九首の次に置かれている。また巻第七の第三百五十七首も須磨の浦を詠む恋の歌である。
作者の「師時」は、左大臣源俊房の子で、権中納言となった源師時である。日記『長秋記』を残している。
初句「人知れぬ」は、人に知られないの意である。
二句「恋をしすまの」は、恋をするの意の「す」と、摂津国の歌枕の「須磨」を掛けている。副助詞「し」が強めを表す。
三句「浦人は」は、海辺に住む人はの意で、恋をする我が身を重ねている。巻第七の第三百五十七首の二句にも須磨の浦が詠まれている。
四句「泣きしほたれて」は、泣き濡れての意で、潮水に濡れて雫が垂れる意の「しほたる」を、涙に濡れることに重ねている。
結句「過ぐすなりけり」は、過ごすのであったの意で、断定の「なり」に詠嘆の「けり」が付いて結んでいる。「浦」「しほたる」が縁語となっている。
すま:恋をする意の「す」と、摂津国の歌枕の須磨を掛ける
うらびと:海辺に住む人
しほたる:潮水に濡れてしずくが垂れる。涙で袖が濡れることのたとえ
- 作者
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源師時
- 出典
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金葉和歌集
- 前の歌
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吹く風に堪へぬ梢の花よりも 留めがたきは涙なりけり
- 次の歌
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山里の思ひかけぢにつららゐて とくる心のかたげなるかな