山里の思ひかけぢにつららゐて
とくる心のかたげなるかな
- 歌の意味
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山里の、思いをかけて通う懸け路に氷が張って、打ち解ける心がなかなか見えないことだ。
- 鑑賞
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巻第十一 異本歌 695
思いをかけて通っていく山里の懸け路に氷が張りつめて、なかなか解けそうにないように、あの人の心も打ち解けそうにない、と詠む歌である。山里の冬の険しい道に、つれない人の心を重ねている。
本歌は、本集の伝本のうち異本にのみ見える歌で、異本の配列では、本集の巻第八の第四百五十八首の次に置かれている。第四百五十八首は、岩間に淀む忘れ水を詠む恋の歌である。
初句「山里の」は、山里のの意である。
二句「思ひかけぢに」は、思いをかけるの意の「思ひかく」と、崖に懸け渡した道の「懸け路」を掛けている。
三句「つららゐて」は、氷が張っての意で、張りつめた氷に、閉ざされたあの人の心を重ねている。
四句「とくる心の」は、打ち解ける心がの意で、氷が「解くる」意と、心が「打ち解くる」意を掛けている。
結句「かたげなるかな」は、難しそうであることだの意で、終助詞「かな」で詠嘆して結んでいる。「つらら」「とくる」が縁語となっている。
かけぢ:崖などに板を懸け渡した道の懸け路に、「思ひかく」の「かけ」を掛ける
つらら:氷
とく:氷が解ける意と、心が打ち解ける意を掛ける
- 出典
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金葉和歌集
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人知れぬ恋をしすまの浦人は 泣きしほたれて過ぐすなりけり
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ものをこそ忍べば言はぬ岩代の 森にのみもる我が涙かな