なこそといふことをば君が言種を
関の名ぞとも思ひけるかな
- 歌の意味
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来るなという言葉を、あなたの口癖であるのに、私は勿来の関の名だとばかり思っていたことだ。
- 鑑賞
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巻第十一 異本歌 698
来るなという意の「なこそ」という言葉は、あなたの口癖であったのに、私はそれを勿来の関の名だとばかり思っていた、と詠む歌である。いつも「来るな」と言う相手のつれなさを、関の名と取り違えていたとおどけて言い、恨みを表している。
本歌は、本集の伝本のうち異本にのみ見える歌で、異本の配列では、本集の巻第八の第四百七十六首の次に置かれている。前後には、つれない人を恨む恋の歌が並んでいる。
作者の「俊頼」は、大納言源経信の子で、木工頭となった源俊頼である。本集の撰者で、家集に『散木奇歌集』がある。小倉百人一首にも歌が採られている。
初句「なこそといふ」は、「な来そ」というの意で、来るなという禁止の言葉を指す。字余りとなっている。
二句「ことをば君が」は、言葉をあなたがの意で、係助詞「は」が濁音化した「ば」が用いられている。
三句「言種を」は、口癖をの意である。
四句「関の名ぞとも」は、関の名であるともの意で、陸奥国の歌枕の勿来の関を指している。
結句「思ひけるかな」は、思っていたことだの意で、詠嘆の「けり」の連体形に終助詞「かな」が付いて結んでいる。
なこそ:「な来そ」で来るなの意。陸奥国の歌枕の勿来の関を響かせる
ことぐさ:口癖、いつも口にする言葉
- 作者
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源俊頼
- 出典
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金葉和歌集
- 前の歌
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つれづれと思ひぞ出づる見し人を 逢はで幾月眺めしつらむ
- 次の歌
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うとましや木の下陰の忘れ水 いくらの人の影を見つらむ