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あやしきも嬉しかりけりおとしむる
その言の葉にかかると思へば

歌の意味
卑しいと言われることも、うれしいことだった。私をおとしめるあなたのその言葉に、私のことがかけられていると思うと。
鑑賞
巻第十一 異本歌 701

 卑しい者と言われることさえ、うれしいことであった、さげすむその言葉であっても、私のことが口にかけられていると思うと、と詠む歌である。相手からさげすまれた言葉さえ、自分に心がかけられたしるしとして喜ぶと言い、恋の思いの深さを表していると解される。
 本歌は、本集の伝本のうち異本にのみ見える歌で、異本の配列では、前歌の第七百首に続いて、巻第八の巻末歌である巻第八の第五百十五首の次に置かれている。
 作者の「俊頼」は、大納言源経信の子で、木工頭となった源俊頼である。本集の撰者で、家集に『散木奇歌集』がある。小倉百人一首にも歌が採られている。

 初句「あやしきも」は、卑しいことも、取るに足りないと言われることもの意である。
 二句「嬉しかりけり」は、うれしいことであったの意で、詠嘆の「けり」で言い切る二句切れの歌である。
 三句「おとしむる」は、さげすむの意で、連体形が四句の「言の葉」にかかる。
 四句「その言の葉に」は、その言葉にの意で、「葉」の縁で結句の「かかる」が用いられている。
 結句「かかると思へば」は、かけられていると思うとの意で、已然形に接続助詞「ば」が付いて理由を表す。二句以前と倒置になっている。

おとしむ:さげすむ、見下す
ことのは:言葉
かかる:言葉にかけられる、話題にされる
作者
源俊頼
出典
金葉和歌集
前の歌
つらかりし心ならひに逢ひ見ても なほ夢かとぞ疑はれける
次の歌
いかでかは袂に月の宿らまし 光待ちとる涙ならずは