恋ひ死なでこころづくしに今までも
頼むればこそいきの松原
- 歌の意味
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恋い死にもせずに、心を尽くして、今まで生きてきたのも、あなたを頼みにしているからこそだ。生の松原の名のように。
- 鑑賞
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巻第十一 異本歌 714
恋い死にもせずに、心を尽くしながら今まで生きながらえてきたのも、あなたを頼みにしているからこそである、と詠む歌である。筑前国の「生の松原」を結句に置き、「心尽くし」に「筑紫」、「生の松原」に「生き」を掛けて、命をつなぐ恋の頼みを表している。
本歌は、本集の伝本のうち異本にのみ見える歌で、異本では、本集の巻末歌である巻第十の第六百六十五首のあとに、前歌の第七百十三首に続いて置かれている。前歌と同じく、歌枕の地名に恋の思いを掛けている。
作者の「親隆」は、参議藤原為房の子で、参議となった藤原親隆である。
初句「恋ひ死なで」は、恋い死にもしないでの意で、打消の接続助詞「で」が用いられている。
二句「こころづくしに」は、心を尽くしての意で、筑前国のある「筑紫」を掛けている。
三句「今までも」は、今までもの意である。
四句「頼むればこそ」は、頼みにしているからこその意で、已然形に接続助詞「ば」と係助詞「こそ」が付いている。
結句「いきの松原」は、筑前国の歌枕の生の松原の意で、「生き」を掛けている。体言止めで結んでいる。
こころづくし:心を尽くす意と、筑紫を掛ける
いきのまつばら:筑前国の歌枕の生の松原に、「生き」を掛ける
たのむ:頼みにする、あてにする
- 作者
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藤原親隆
- 出典
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金葉和歌集
- 前の歌
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逢ふことのなきをうきたの森に住む 呼子鳥こそ我が身なりけれ
- 次の歌
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身のほどを思ひ知りぬることのみや つれなき人の情けなるらむ