増鏡 - 西園寺公経
山桜を、峰にも尾根にも植えておこう。自分の見ることのない後の世の春を、人が偲んでくれるだろうかと思って。
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増鏡 - 西園寺実氏
朽ち果てようとする老木に咲いた桜の花よ。我が身になぞらえてでも、今日はこれを挿頭にしよう。
九重の大内山はどうなっていることだろうか。際限も知らず降り積もる雪であるよ。
増鏡 - 少将内侍
九重の内野の雪に足跡をつけて、はるかに千代の道を見ることであるよ。
伝え聞く聖の御代々の跡を御覧になって、古きを今に移す道をお習いになってほしい。
増鏡 - 後嵯峨院
知らなかった昔に、今こそ立ち返ることができようか。かしこき御代々の跡を習うならば。
石清水よ。木隠れのように世に隠れていた昔を思い出すと、澄みわたる心地がすることだ。
色も香も重ねて美しく匂え、梅の花よ。この宿が九重の内裏となったしるしとして。
祝い置く始めの日として今日を数え、松が枝の千年の影に澄んでいる池の水よ。
影を映す松にも千代の色が見えて、今日初めて澄みはじめるこの宿の池の水よ。
増鏡 - 大納言典侍
色を変えぬ常磐の松の影を添えて、千代にも八千代にも澄んでいる池の水よ。
川舟が棹さして行く先はどこか。自分のものでないというわけではない。ここを旅とは言うまい、我が宿と定めよう。
増鏡 - 弁内侍
津の国の葦の下根はどうしたわけで、波にしおれて乱れた顔をしているのだろう。
増鏡 - 中納言典侍
津の国の葦の下根のように乱れ果てて、心も波に浮かんだまま過ごしていることだ。
菖蒲草の、底も知れぬ沼の長い根に、深いというのだろうか。この蓬生の露は。
増鏡 - 三条公親
菖蒲草の、底も知れぬ沼の長い根を、私の深い心にどうして比べられようか。