増鏡 - 帥宮
雨のように降る涙の色とはこれであろうか。袖のほかにまで染めている紅葉であることよ。
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増鏡 - 西園寺公顕
幾度染め重ねて涙の色が染めたのだろうか。今日を限りの秋の紅葉であることよ。
増鏡 - 藤原為藤
紅葉の葉に鳴く声は絶えない。空蝉のからくれないの色も、涙と見るべきであろうか。
増鏡 - 清忠
山姫の涙の色も、この頃はとりわけ深く染めるのだろうか。この蔦の紅葉を。
増鏡 - 光忠
世の中の歎きの色を知らないからだろうか。去年と変わらない蔦の紅葉であることよ。
増鏡 - 北殿の内親王
そうはいってもやはり色は木の葉に残っていたことよ。形見と思えばそれも悲しい、秋の別れ道である。
あなたも自然と眺めておいでだろうか、とばかり思って、心にひかれて来た有明の月であることよ。
むなしく待つ宵が過ぎてしまった村雨に、思いも絶えてしまった。その後の有明の月であることよ。
増鏡 - 後宇多院
昔に約束したことが変わらないのだから、すべて昔の世に返るのであろうか。
増鏡 - 内侍のかみの君
契ってきた心の行く末は知らないけれども、この一言だけは変わらないのであろうか。
増鏡 - 伏見院
我が世には撰び集めなかった和歌、その和歌の浦の千鳥のように、むなしい名ばかりを跡に残すのであろうか。
長月であるのに木の葉もまだ色を変えずにいるのに、時雨に濡れもしない私の袖の色は変わるのであろうか。
我が身こそはこの世からなくなるとしても、秋の暮を惜しむ心はいつまでも変わるまい。
増鏡 - 藤原為子
ひとすじに、暮れてゆく秋だけを惜しみたい。ほかならぬ名残を思い添えずに。
増鏡
どのように慕い、どのように惜しもうか。年々の秋にまさる、この秋の名残を。
増鏡 - 春宮
馴れ親しんだ花は心を移してしまったのだろうか。同じ軒端の春に出会っているけれども。