増鏡 - 後醍醐天皇
花はきっと思い出しているだろう。幾春を経て、飽きることのない色と香に染めた私の心を。
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増鏡 - 後伏見院
色さまざまに都は春の時に出会っているけれども、私の住む山は花も開かない。
増鏡 - 後宇多院
私が住んでいるので寂しくもない。山里であっても、朝の政を怠ることなくして。
増鏡 - 永福門院
今宵こそ、雲居の月もいっそう光を添えていることでしょう。その秋のみ山を思いやることです。
昔ご覧になった秋のみ山の月影を、思い出してこそ思いやっておられるのだろうか。
増鏡 - 堀川具親
つらい事も花に向かえばしばらくは忘れられて、春を思う心だけは昔のままであったことよ。
増鏡
絶え果ててしまった契りを一人だけ忘れずにいるのも、つらいのも、我が身の心のせいであったのだ。
増鏡 - 藤原為世
今こそ知った。昔に立ち返る我が道の誠を、神もお守りくださっていたのだということを。
鐘の音までも傾いてゆく月にかこつけられて、惜しいと思う夜は今宵であったのだ。
笛の音も雲の上まで聞こえているらしい。今宵、手向けとして奏する秋の調べは。
増鏡 - 藤原実教
どうせのことなら空まで送り届けてほしい。焚き物の匂いを誘ってゆく庭の秋風よ。
増鏡 - 万秋門院
仰ぎ見た月も隠れてしまった秋であるから、その道理を知れというので曇っている空であることよ。
増鏡 - 宰相の典侍
光のない世となったのは道理である。秋の月も、私の涙が添うのでいっそう曇っているのだろうか。
増鏡 - 春宮
後に残った鶴の心はどれほどであろうか。先立たれた和歌の浦、その恨みであることだろう。
ただ思ってほしい。和歌の浦に後れ居て、老いた鶴が歎いているこの心を。
増鏡 - 有忠
世間なみの春との別れのほかに、また我が世の尽きてしまった今日の暮れであることよ。