ふるさとの野辺見にゆくといふめるを
いざもろともに若菜摘みてん
- 歌の意味
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昔なじみの里の野辺を見に行くと言っているようだから、さあ、いっしょに若菜を摘もう。
- 鑑賞
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巻第一 春歌上 10
詞書「宇多院に子日せんとありければ、式部卿の親王を誘ふとて」
宇多院で子の日の遊びをするということになり、兄弟の式部卿の親王を誘った歌である。父ゆかりの地の野辺へいっしょに出かけ、若菜を摘もうと親しく呼びかけている。
詞書によれば、宇多院で子の日の遊びを催すことになったので、式部卿の親王を誘ったものである。宇多院は宇多天皇の御所で、作者にとっては父の住まいであった所である。
作者の「行明規王」は行明親王である。宇多天皇の皇子で、本文の表記は「親王」の誤りと見られる。
初句「ふるさとの」は、かつてなじんだ里をいい、ここでは宇多院を指している。
二句「野辺見にゆくと」は、子の日の遊びに野辺へ出かけることを表す。
三句「いふめるを」の「める」は推定の助動詞「めり」の連体形で、そう言っているようだから、と伝え聞いたことを示す。
四句「いざもろともに」は、さあいっしょに、と相手を誘う言葉である。前歌の第九首が取り残された嘆きであったのに対し、本歌は共に行こうと誘う歌で、対照をなしている。
結句「若菜摘みてん」の「てん」は強い意志を表し、必ずいっしょに若菜を摘もうという意である。
ふるさと:昔なじみの土地、ここでは宇多院をいう
しきぶきやうのみこ:式部省の長官である親王
- 作者
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行明親王
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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春の野に心をだにもやらぬ身は 若菜は摘まで年をこそつめ
- 次の歌
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水の面にあや吹き乱る春風や 池の氷を今日は解くらむ