明かからば見るべきものを雁がねの
いづこばかりに鳴きて行くらん
- 歌の意味
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明るければ見ることができるのに。雁はどのあたりを鳴いて行くのだろうか。
- 鑑賞
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巻第七 秋歌下 430
詞書「秋闇なる夜、かれこれ物語し侍るあひだ、雁の鳴きわたり侍りければ」
明るければ姿を見ることができるのに、闇夜に鳴いて渡っていく雁は、どのあたりを行くのだろうかと詠んだ歌である。声だけが聞こえて姿の見えない雁を思いやっている。
詞書によれば、秋の闇夜に何人かで語り合っていたところ、雁が鳴いて渡っていったので詠んだものである。本巻の第三百五十六首も秋の夜に声で雁の渡りを知る歌である。前歌の月の明るい夜に対し、本歌は月のない闇夜を詠んでいる。
作者の「源わたす」は源済である。平安時代前期の官人で、伝は詳らかでない。
初句「明かからば」は、明るかったならば、の意である。
二句「見るべきものを」の「ものを」は逆接の詠嘆で、見ることができるのに、の意である。ここで句切れとなる。
三句「雁がねの」は、雁が、の意である。
四句「いづこばかりに」の「ばかり」は、おおよその範囲を示し、どのあたりを、の意である。
結句「鳴きて行くらん」の「らん」は現在推量の助動詞で、鳴いて行くのだろうか、の意である。
かりがね:雁、また雁の鳴き声
- 作者
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源済
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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などわが身下葉紅葉となりにけん 同じなげきの枝にこそあれ
- 次の歌
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いたづらに露に置かるる花かとて 心も知らぬ人や折りけん