などわが身下葉紅葉となりにけん
同じなげきの枝にこそあれ
- 歌の意味
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どうして私の身は、下葉の紅葉のように色あせてしまったのだろう。あなたと同じ嘆きの枝についているのに。
- 鑑賞
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巻第七 秋歌下 429
詞書「故宮の内侍に兼輔朝臣忍びて通はし侍りける文を取りて、書きつけて内侍につかはしける」
どうして私の身だけが、下葉の紅葉のように色あせてしまったのだろう、あなたと同じ嘆きの枝についているのにと詠んだ歌である。同じ男をめぐって嘆く身でありながら、自分だけが顧みられなくなったことを、下葉の紅葉に託して嘆いている。
詞書によれば、藤原兼輔がひそかに故宮の内侍に送っていた手紙を手に入れ、それに書きつけて内侍に送ったものである。兼輔と関わりのある女性が、同じ男に思いを寄せる内侍に、自らの嘆きを訴えたものと見られる。
作者は「よみ人しらず」で、詠み手の名は伝わらない。原文の作者表記は「よみ人も」とあるが、ここでは「よみ人しらず」として扱う。
初句「などわが身」は、どうして私の身は、の意である。
二句「下葉紅葉と」は、下葉の紅葉のように、の意で、木の下の方の葉が先に色づいて散ることから、顧みられなくなった身をたとえている。
三句「なりにけん」の「けん」は過去の原因推量の助動詞で、なってしまったのだろう、の意である。ここで句切れとなる。
四句「同じなげきの」の「なげき」は、「嘆き」と、薪の意の「投げ木」を掛けた掛詞で、「木」が結句の「枝」の縁語となっている。
結句「枝にこそあれ」は、枝についているのに、の意で、「こそ」と已然形「あれ」が係り結びをなし、逆接の意を込めている。
なげき:「嘆き」と、薪の意の「投げ木」を掛ける
したば:木や草の下の方の葉
ないし:内侍司の女官
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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照る月の秋しもことにさやけきは 散る紅葉葉を夜も見よとか
- 次の歌
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明かからば見るべきものを雁がねの いづこばかりに鳴きて行くらん