照る月の秋しもことにさやけきは
散る紅葉葉を夜も見よとか
- 歌の意味
-
照る月が、秋に限ってことさらに明るいのは、散る紅葉を夜も見よということか。
- 鑑賞
-
巻第七 秋歌下 428
詞書「題しらず」
空に照る月が、秋に限ってことさらに明るく澄んでいるのは、散る紅葉を夜も見よということなのかと詠んだ歌である。秋の月の明るさを、散りゆく紅葉を夜まで惜しませるためのものと理由づけている。
本巻の第四百一首も、月の夜に散る紅葉を詠んでいる。前歌の紅葉の色から、本歌は月光に照らされる紅葉へと移っている。
作者は「よみ人しらず」で、詠み手の名は伝わらない。原文の作者表記は「よみ人も」とあるが、ここでは「よみ人しらず」として扱う。
初句「照る月の」は、空に照る月が、の意である。
二句「秋しもことに」の「しも」は強めの副助詞で、秋に限ってことさらに、の意である。本巻の第四百二十六首も二句に「秋しも」を置いている。
三句「さやけきは」は、明るく澄んでいるのは、の意である。
四句「散る紅葉葉を」は、散る紅葉を、の意である。
結句「夜も見よとか」の「とか」は、〜というのか、の意で、夜も見よということか、の意である。
さやけし:明るく澄んでいる、くっきりしている
- 作者
-
よみ人しらず
- 出典
-
後撰和歌集
- 前の歌
-
君恋ふと涙に濡るるわが袖と 秋の紅葉といづれまされり
- 次の歌
-
などわが身下葉紅葉となりにけん 同じなげきの枝にこそあれ