枝も葉もうつろふ秋の花見れば
果ては影なくなりぬべらなり
- 歌の意味
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枝も葉も色あせていく秋の花を見ると、しまいには影もなくなってしまいそうだ。
- 鑑賞
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巻第七 秋歌下 432
詞書「身のなり出でぬことなど嘆き侍りけるころ、紀友則がもとより、いかにぞと問ひおこせて侍りければ、返事に菊の花を折りてつかはしける」
枝も葉も色あせていく秋の花を見ると、しまいには姿もなくなってしまいそうだと詠んだ歌である。衰えていく菊の花に、出世できずに沈んでいくわが身を重ね、頼る陰もなくなる不安を表している。
詞書によれば、出世できないことを嘆いていたころ、紀友則から様子はどうかと尋ねてきたので、返事に菊の花を折って送ったものである。次歌と贈答をなしている。
作者の藤原忠行は平安時代前期の官人である。詞書によれば、紀友則と親しく交わっていた。
初句「枝も葉も」は、枝も葉も、の意である。
二句「うつろふ秋の」の「うつろふ」は、色があせる、衰える意で、衰えていく秋の、の意である。
三句「花見れば」は、花を見ると、の意で、菊の花を指している。
四句「果ては影なく」の「影」は、花の姿の意と、身を寄せる陰、庇護の意を重ねている。
結句「なりぬべらなり」の「べらなり」は推量を表す語で、なってしまいそうだ、の意である。次歌の結句「影は繁らん」と、「影」の有無が対をなしている。
うつろふ:色があせる、衰える
かげ:姿、また身を寄せる陰、庇護
なりいづ:出世する、立身する
- 作者
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藤原忠行
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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いたづらに露に置かるる花かとて 心も知らぬ人や折りけん
- 次の歌
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雫もて齢延ぶてふ花なれば 千代の秋にぞ影は繁らん