葉を若みほにこそ出でね花すすき
下の心に結ばざらめや
- 歌の意味
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葉が若いので穂にはまだ出ていない花すすきのように、年若いあなたは思いを表に出さないけれど、心の奥では私と思いを結ばずにいることがあろうか。
- 鑑賞
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巻第十 恋歌二 604
詞書「また年若かりける女につかはしける」
葉が若くて穂の出ない花すすきのように、年若い女は思いを表に出さないが、心の奥では思いを結ばずにいられようか、と詠んだ歌である。まだ若い相手を穂の出ないすすきにたとえ、ひそかな思いを期待している。
詞書によれば、まだ年若い女に送った歌である。前歌までの初めて送る恋の歌に続き、相手の幼さを花すすきに寄せて詠んでいる。
作者の源中正は、平安時代前期の人物で、経歴は詳しく伝わらない。
初句「葉を若み」は、葉が若いので、の意で、「を……み」は原因や理由を表す。年若い女のたとえである。
二句「ほにこそ出でね」の「ほ」は、すすきの「穂」と、表に現れる意の「ほ」を掛けた掛詞である。「こそ」は強めの係助詞で、打消の「ず」の已然形「ね」で結び、逆接で下へ続く。
三句「花すすき」は、穂の出たすすきのことで、ここで上の句がまとまる。
四句「下の心に」は、心の奥で、の意で、すすきの下葉や根もとの意を響かせている。
結句「結ばざらめや」は、結ばずにいることがあろうか、いや結ぶだろう、の意の反語である。「結ぶ」はすすきの縁語で、思いを結ぶ、契りを結ぶ意を表す。
ほ:すすきの「穂」の意と、表に現れる意を掛ける
はなすすき:穂の出たすすき
むすぶ:すすきを結ぶ意を響かせ、思いや契りを結ぶ
- 作者
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源中正
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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我が心いつ習ひてか見ぬ人を 思ひやりつつ恋しかるらん
- 次の歌
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あしひきの山下茂く這ふ葛の 尋ねて恋ふる我と知らずや