あしひきの山下茂く這ふ葛の
尋ねて恋ふる我と知らずや
- 歌の意味
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山の麓に茂って這う葛の蔓をたどるように、あなたを尋ね求めて恋い慕っている私だと、あなたは知らないのか。
- 鑑賞
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巻第十 恋歌二 605
詞書「人を言ひ始めんとて」
山の麓に茂る葛の蔓をたどるように、あなたを尋ね求めて恋い慕う私だと知らないのか、と詠んだ歌である。蔓を根もとまでたどる葛の姿に、相手を求め続ける思いを重ねている。
詞書によれば、ある人に初めて恋を打ち明けようとして詠んだ歌である。次歌の第六百六首も同じ詞書を持つ。
作者の兼覧王は、文徳天皇の皇子である惟喬親王の子で、宮内卿などを務めた。古今和歌集にも歌が採られている。
初句「あしひきの」は、「山」にかかる枕詞である。
二句「山下茂く」は、山の麓に茂って、の意である。
三句「這ふ葛の」は、地を這う葛の、の意で、初句から三句までが、蔓をたどる意で四句の「尋ねて」を導く序詞となっている。
四句「尋ねて恋ふる」は、尋ね求めて恋い慕う、の意である。
結句「我と知らずや」は、私だと知らないのか、の意で、「や」は疑問を表し、相手に問いかけている。
くず:葛、蔓を長く這わせる草
たづぬ:跡をたどって探し求める
- 作者
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兼覧王
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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葉を若みほにこそ出でね花すすき 下の心に結ばざらめや
- 次の歌
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隠れ沼に忍びわびぬる我が身かな 井手の蛙となりやしなまし