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年を経て花のたよりに言問はば
いとどあだなる名をや立ちなん

歌の意味
何年も経ってから、花をもらうのをきっかけに便りをしたならば、いっそう浮気者だという評判が立ってしまうだろうか。
鑑賞
巻第二 春歌中 78

詞書「忘れ侍りにける人の家に花を乞ふとて」
 長く訪れずにいた女の家に花を求めるにあたり、何年もたってから花を口実に便りをしたら、いっそう浮気者だという評判が立つだろうかと詠んだ歌である。久しく疎遠にしていた気まずさを自ら認めつつ、花をきっかけに再び交わりを求めている。
 詞書によれば、通わなくなって久しい人の家に、花を所望しようとして詠んだものである。
 作者の「かねみのおほきみ」は兼覧王である。惟喬親王の子で、宮内卿などを務めた。

 初句「年を経て」は、長い年月を経て、の意で、久しく疎遠であったことを示す。
 二句「花のたよりに」の「たより」は、ついで、きっかけの意で、花を口実に、の意を表す。
 三句「言問はば」は、便りをしたならば、の意で、仮定の条件を示す。
 四句「いとどあだなる」の「あだなり」は、浮気である、誠実でない意で、散りやすい花のはかなさとも響き合っている。
 結句「名をや立ちなん」の「や」は疑問の係助詞で、連体形「なん」と係り結びをなす。浮気者という評判が立ってしまうだろうか、と案じている。

こととふ:便りをする、問いかける
たより:ついで、きっかけ
な:うわさ、評判
作者
兼覧王
出典
後撰和歌集
前の歌
我が宿の桜の色は薄くとも 花の盛りはきても折らなむ
次の歌
我が宿の花にな鳴きそ呼子鳥 呼ぶかひありて君も来なくに