我が宿の桜の色は薄くとも
花の盛りはきても折らなむ
- 歌の意味
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我が家の桜の色は薄いけれども、花の盛りには、この衣を着て、そして訪ねて来て花を手折ってほしい。
- 鑑賞
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巻第二 春歌中 77
詞書「忍びたりける男のもとに、春行幸あるべしと聞きて、装束一くだり調じてつかはすとて、桜色の下襲に添へて侍りける」
染めた桜の色は薄くても、花の盛りにはこれを着て訪れてほしいと詠んだ歌である。晴れの場に臨む男への心遣いと、訪れを待つ思いとが込められている。
詞書によれば、忍んで通っていた男のもとに、春に行幸があるはずだと聞いて、装束を一揃い調えて贈るとき、桜色の下襲に添えたものである。
作者は「よみ人しらず」で、詠み手の名は伝わらない。原文の作者表記は「よみ人も」とあるが、ここでは「よみ人しらず」として扱う。
初句「我が宿の」は、我が家の、の意である。本巻の第七十九首も同じ「我が宿の」で始まっている。
二句「桜の色は」は、作者が調えた桜色の下襲の色を、庭の桜になぞらえている。
三句「薄くとも」の「とも」は逆接の仮定で、色が薄くても、の意である。色の薄さに、我が身への謙遜も込めている。
四句「花の盛りは」は、桜の盛り、すなわち行幸の行われる晴れの時節を示す。
結句「きても折らなむ」の「き」は、衣を「着」る意と、訪ねて「来」る意を掛けた掛詞である。「なむ」は他に対する願望で、折ってほしい、の意を表す。
きる:衣を「着る」意と、訪ねて「来」る意を掛ける
したがさね:束帯のとき袍の下に着る衣
みゆき:天皇のお出まし、行幸
さうぞく:衣服、装束
てうず:調える、作る
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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寝られぬをしひて我が寝る春の夜の 夢をうつつになすよしもがな
- 次の歌
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年を経て花のたよりに言問はば いとどあだなる名をや立ちなん