秋霧の晴れぬ朝の大空を
見るがごとくも見えぬ君かな
- 歌の意味
-
秋霧の晴れない朝の大空を見るように、はっきりとは姿の見えないあなたであることよ。
- 鑑賞
-
巻第十二 恋歌二 748
詞書は前の歌に続き「題しらず」
秋霧の晴れない朝の大空を見るように、はっきりと姿を見せてくれないあなたであることよと詠む歌である。霧に閉ざされた空のように、相手の姿も心もつかめないもどかしさを表している。第七百二十二首の曇る大空が日暮れを待つ喜びを詠んだのに対し、この歌の霧の晴れない大空は、逢えない嘆きを表している。
初句「秋霧の」は、秋の霧が、の意である。
二句「晴れぬ朝の」は、晴れない朝の、の意で、「ぬ」は打消の助動詞「ず」の連体形である。
三句「大空を」は、大空を、の意で、本巻の第七百二十二首の三句「大空は」と同じ語である。
四句「見るがごとくも」は、見るように、の意である。
結句「見えぬ君かな」は、姿の見えないあなたであることよ、の意で、四句の「見る」と結句の「見え」を重ねて、見ようとしても見えないもどかしさを表している。
あきぎり:秋霧。秋に立つ霧
- 作者
-
よみ人しらず
- 出典
-
拾遺和歌集
- 前の歌
-
来ぬかなとしばしは人に思はせむ 逢はで帰りし宵のねたさに
- 次の歌
-
恋ひわびぬ音をだに泣かむ声立てて いづこなるらん音無の里