雨降りて水まさりけり天の河
今宵はよそに恋ひむとや見し
- 歌の意味
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雨が降って水かさが増したことだ、天の川は。今夜はよそながら恋しく思うことになろうと、思っていただろうか。
- 鑑賞
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巻第五 秋歌上 227
詞書「文月の七日に、夕方まで来むと言ひて侍りけるに、雨降り侍りければ、まで来で」
雨が降って天の川の水かさが増したので、今夜はよそながら恋しく思うことになろうとは思いもしなかったと詠んだ歌である。雨で訪れることができなかった自分を、増水した天の川に隔てられた彦星になぞらえている。
詞書によれば、七月七日に夕方までには行こうと言っていたが、雨が降ったので行かずに送ったものである。次歌は相手の女の返歌で、二首は贈答をなしている。
作者の源中正は平安時代中期の官人で、後撰和歌集に歌が採られているが、詳しい経歴はあまり伝わらない。
初句「雨降りて」は、雨が降って、の意で、詞書の七夕の日の雨を示す。
二句「水まさりけり」は、水かさが増したことだ、の意で、「けり」は気づきの詠嘆を表す。ここで句切れとなる。次歌の第二百二十八首は初句「水まさり」で受けている。
三句「天の河」は、天の川、の意で、二句と倒置の関係にあり、水かさが増したのが天の川であることを示す。前歌の初句を受けている。
四句「今宵はよそに」は、今夜はよそながら、の意で、逢えずに離れたところから思うことを表す。
結句「恋ひむとや見し」の「や」は疑問の係助詞、「し」は過去の助動詞「き」の連体形で、恋しく思うことになろうと思っただろうか、いや思わなかった、の意である。
まうでく:参上する、うかがう
よそ:離れたところ、関わりのない所
- 作者
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源中正
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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天の河渡らむ空もおもほえず 絶えぬ別れと思ふものから
- 次の歌
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水まさり浅き瀬知らずなりぬとも 天の門渡る舟もなしやは