漁り火の夜はほのかに隠しつつ
ありへばこひの下に消ぬべし
- 歌の意味
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漁り火が夜にはほのかに見え隠れするように、思いを隠し続けて過ごしていたら、恋の火の下で、人知れず消えてしまうにちがいない。
- 鑑賞
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巻第十 恋歌二 681
詞書「忍びて逢ひわたり侍りける人に」
漁り火が夜にほのかに見え隠れするように思いを隠し続けていたら、恋の火の下で消えてしまうだろう、と詠んだ歌である。人目を忍ぶ恋の苦しさを、闇にほのめく漁り火にたとえている。
詞書によれば、人目を忍んで逢い続けていた人に送った歌である。
作者の藤原忠国は、平安時代中期の人物で、経歴は詳しく伝わらない。
初句「漁り火の」は、夜に魚を寄せるために焚く火の、の意で、二句の「ほのかに」を導いている。
二句「夜はほのかに」は、夜にはかすかに、の意である。
三句「隠しつつ」は、思いを隠し続けて、の意で、「つつ」は継続を表す。
四句「ありへばこひの」は、そのまま過ごしていたら恋の、の意で、「こひ」の「ひ」に「火」を掛け、漁り火の縁語としている。
結句「下に消ぬべし」は、その下で消えてしまうにちがいない、の意で、「下」には人知れず心の内で、の意を響かせている。
いさりび:夜に魚を寄せるために焚く火
こひ:「恋」の「ひ」に「火」を掛ける
く:消える
- 作者
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藤原忠国
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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深くのみ思ふ心は葦の根の わけても人に逢はんとぞ思ふ
- 次の歌
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立ち寄らば影踏むばかり近けれど 誰かなこその関を据ゑけん