世とともになげきこりつむ身にしあれば
なぞやまもりのあるかひもなき
- 歌の意味
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いつも嘆きを、投げ木を切って積み重ねるように重ねている身なので、山守がいるように、お守りがあっても、どうして何の甲斐もないのだろう。
- 鑑賞
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巻第十一 恋歌三 761
詞書「守り置きて侍りける男の心変はりにければ、その守りを返しやるとて」
いつも嘆きを積み重ねている身なので、どうしてお守りがあっても甲斐がないのか、と詠んだ歌である。男が置いていったお守りに心変わりを防ぐ力がなかったことを、山守と投げ木の縁語でつづり、恨みをこめて返している。
詞書によれば、お守りを預け置いていった男が心変わりしたので、そのお守りを返すときに添えた歌である。
作者の「これひらの朝臣のむすめいまき」は、藤原伊衡の娘で、いまきと呼ばれた女性である。経歴は詳しく伝わらない。
初句「世とともに」は、いつも、絶えず、の意である。
二句「なげきこりつむ」の「なげき」は、「嘆き」と、薪にする「投げ木」を掛ける掛詞である。「こりつむ」は木を切って積む意で、「投げ木」の縁語となっている。
三句「身にしあれば」は、身であるので、の意で、「し」は強めの副助詞である。
四句「なぞやまもりの」の「やまもり」は、山の番人である「山守」と、お守りの「守り」を掛ける掛詞で、二句の「投げ木」「こりつむ」と縁語の関係にある。
結句「あるかひもなき」は、ある甲斐もない、の意で、四句の「なぞ」を受けて連体形「なき」で結んでいる。
なげき:「嘆き」の意と、薪にする「投げ木」の意を掛ける
こりつむ:木を切って積み重ねる
やまもり:山の番人の意と、お守りの「守り」の意を掛ける
- 作者
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藤原伊衡の娘いまき
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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岸もなく潮し満ちなば松山を 下にて波は越さむとぞ思ふ
- 次の歌
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人知れぬ我が物思ひの涙をば そでにつけてぞ見すべかりける