あひ見てもつつむ思ひのわびしきは
人まにのみぞ音は泣かれける
- 歌の意味
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逢っていても、人目をはばかって包み隠す思いがつらいのは、人のいない間にだけ、声を上げて泣いてしまうことだ。
- 鑑賞
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巻第十一 恋歌三 790
詞書「忍びて通ひける人に」
逢っても包み隠す思いがつらいのは、人のいない間にばかり声を上げて泣いてしまうことだ、と詠んだ歌である。人目を忍ぶ恋では、逢えてもなお思いを隠さねばならず、ひとりのときに泣くしかない苦しさを述べている。
詞書によれば、ひそかに通っていた人に送った歌である。
作者の藤原ありよしは、平安時代中期の人物で、経歴は詳しく伝わらない。
初句「あひ見ても」は、逢っていても、の意である。本巻の第七百二十八首の初句と同じ句である。
二句「つつむ思ひの」は、包み隠す思いが、の意である。
三句「わびしきは」は、つらいのは、の意である。本巻の第七百三首、第七百四首、第七百二十六首の三句と同じ句である。
四句「人まにのみぞ」は、人のいない間にだけ、の意で、「ぞ」は強めの係助詞である。
結句「音は泣かれける」は、声を上げて泣いてしまうことだ、の意で、「れ」は自発の助動詞であり、四句の「ぞ」を受けて連体形「ける」で結ぶ係り結びとなっている。
つつむ:はばかって隠す
ひとま:人のいない間、人目のない時
- 作者
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藤原ありよし
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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我がためは見るかひもなし忘れ草 忘るばかりの恋にしあらねば
- 次の歌
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小山田の苗代水は絶えぬとも 心の池のいひは放たじ