白雲のみなひとむらに見えしかど
立ち出でて君を思ひそめてき
- 歌の意味
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白雲がみなひとかたまりに見えるように、白い衣の女たちはみな同じように見えたけれど、雲が立ち離れるようにあなたが進み出て、私はあなたを思いはじめたのだった。
- 鑑賞
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巻第十三 恋歌五 987
詞書「白き衣どもを着たる女どもの、あまた月明きに侍りけるを見て、あしたに一人がもとにつかはしける」
白雲がみなひとかたまりに見えたけれど、立ち出たあなたを思いはじめた、と詠んだ歌である。月明かりの下で白い衣を着て集う女たちを白雲に見立て、その中から進み出た一人に心をひかれたことを詠んでいる。
詞書によれば、白い衣を着た女たちが大勢、月の明るい夜に集っていたのを見て、翌朝その中の一人のもとへ送った歌である。白雲と白い衣、月明かりの白さが重なり、清らかな情景の中に恋の始まりを描いている。
作者の藤原有好は、後撰集の時代の歌人で、詳しい伝は未詳である。
初句「白雲の」は、白雲が、の意で、白い衣を着た女たちをたとえている。
二句「みなひとむらに」は、みなひとかたまりに、の意で、「むら」は群がりをいう。
三句「見えしかど」は、見えたけれど、の意で、「しか」は過去の助動詞「き」の已然形、「ど」は逆接の接続助詞である。
四句「立ち出でて君を」は、進み出たあなたを、の意で、雲が群れから立ち離れることと、女が進み出ることを重ねている。
結句「思ひそめてき」は、思いはじめたのだった、の意で、「そめ」に「初め」と、白に対する色の「染め」を響かせている。「き」は過去の助動詞である。
ひとむら:ひとかたまり、ひと群れ
そむ:「初む」と、色に「染む」を響かせる
- 作者
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藤原有好
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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なか絶えて来る人もなき葛城の 久米路の橋は今もあやふし
- 次の歌
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よそなれど心ばかりはかけたるを などかおもひに乾かざるらん