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これを見よ人もすさめぬ恋すとて
音を泣く虫のなれる姿を

歌の意味
これを見てほしい。人も顧みてくれない恋をするといって、声を上げて鳴く虫がなり果てた、この姿を。
鑑賞
巻第十一 恋歌三 793

詞書「物言ひける女に、蝉の殻を包みてつかはすとて」
 これを見てほしい、顧みられない恋をして声を上げて鳴く虫がなり果てた姿を、と詠んだ歌である。蝉の抜け殻を贈り、恋に泣き尽くしてむなしくなった自分の姿だと訴えている。
 詞書によれば、言葉を交わしていた女に、蝉の抜け殻を包んで送るときに添えた歌である。なお本文の二句は「人もすさめぬ」とあり、読み仮名の行の「ひともすさへぬ」と一致しない。ここでは本文の表記に従う。
 作者の源重光は、醍醐天皇の皇子である代明親王の子で、権大納言を務めた。

 初句「これを見よ」は、これを見てほしい、の意で、贈った蝉の殻を指す。ここで句切れとなり、四句以下と倒置の関係にある。
 二句「人もすさめぬ」は、人も顧みない、の意である。
 三句「恋すとて」は、恋をするといって、の意である。
 四句「音を泣く虫の」は、声を上げて鳴く虫の、の意で、「なく」は虫が「鳴く」と人が「泣く」を重ねている。
 結句「なれる姿を」は、なり果てた姿を、の意で、抜け殻を、恋に身をやつした自分の姿に見立てている。

すさむ:心を寄せる、好んで顧みる
せみのから:蝉の抜け殻
作者
源重光
出典
後撰和歌集
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千代経むと契りおきてし姫松の 根ざしそめてし宿は忘れじ
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あひ見ては慰むやとぞ思ひしに なごりしもこそ恋しかりけれ