千代経むと契りおきてし姫松の
根ざしそめてし宿は忘れじ
- 歌の意味
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千年も共に過ごそうと約束しておいた姫松が、根を下ろしはじめたこの宿を、私は忘れまい。
- 鑑賞
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巻第十一 恋歌三 792
詞書「方違へに、人の家に人を具してまかりて、帰りてつかはしける」
千年も経ようと約束した姫松が根を下ろしはじめた宿を忘れまい、と詠んだ歌である。方違えで泊まった家を、二人の契りが根を張りはじめた場所として、いつまでも忘れないと誓っている。
詞書によれば、方違えのために人を連れて他人の家へ行き、帰ってから送った歌である。
作者は「よみ人しらず」で、詠み手の名は伝わらない。
初句「千代経むと」は、千年も過ごそうと、の意である。
二句「契りおきてし」は、約束しておいた、の意である。
三句「姫松の」は、小さな松の意で、千年を経る松に二人の長い契りを託している。
四句「根ざしそめてし」は、根を下ろしはじめた、の意で、二人の仲が始まったことをたとえている。
結句「宿は忘れじ」は、その宿は忘れまい、の意で、「じ」は打消の意志を表す。
かたたがへ:外出の際、陰陽道で凶とされる方角を避けて、いったん別の場所に泊まること
ひめまつ:小さな松
ねざす:根を下ろす
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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小山田の苗代水は絶えぬとも 心の池のいひは放たじ
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これを見よ人もすさめぬ恋すとて 音を泣く虫のなれる姿を