あはれとし君だに言はば恋ひわびて
死なん命も惜しからなくに
- 歌の意味
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せめてあなただけでも、かわいそうにと言ってくれるならば、恋に思い悩んで死んでしまう命も、惜しくはないのに。
- 鑑賞
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巻第十一 恋歌一 686
詞書は前の歌に続き「題しらず」
あなただけでもかわいそうにと言ってくれるなら、恋に思い悩んで死ぬ命も惜しくはないのにと詠む歌である。相手からのわずかな情けの言葉さえあれば、命を捨てても悔いはないという、ひたむきな思いを表している。前歌の第六百八十五首が死んでからでは意味がないとしたのに対し、この歌は相手の一言と引き換えなら死をもいとわないとしており、命をめぐって対照的な歌が並ぶ。第六百五十三首の「あはれとも思はじものを」とも通い合う。
作者の源経基は、清和天皇の皇子貞純親王の子で、清和源氏の祖とされる。武蔵介などを務め、平将門の乱や藤原純友の乱の平定に関わった。
初句「あはれとし」は、かわいそうにと、の意で、「し」は強めの副助詞である。
二句「君だに言はば」は、あなただけでも言ってくれるならば、の意で、「だに」は最小限の限定を表す。
三句「恋ひわびて」は、恋に思い悩んで、の意である。
四句「死なん命も」は、死んでしまうであろう命も、の意で、「な」は完了の助動詞「ぬ」の未然形、「ん」は推量の助動詞である。
結句「惜しからなくに」は、惜しくはないのに、の意で、「なく」は打消の助動詞「ず」に接尾語「く」がついた形、「に」は詠嘆を表す。
こひわぶ:恋ひわぶ。恋に思い悩む
- 作者
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源経基
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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恋ひ死なむ後は何せん生ける日の ためこそ人の見まくほしけれ
- 次の歌
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人知れず思ふ心をとどめつつ 幾度君が宿を過ぐらん