雲居なる人を遥かに思ふには
我が心さへ空にこそなれ
- 歌の意味
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雲のかなたのように遠くにいる人をはるかに思うと、私の心までも空のように上の空になってしまう。
- 鑑賞
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巻第十四 恋歌四 909
詞書「遠き所に思ふ人を置き侍りて」
雲のかなたほど遠くにいる人をはるかに思っていると、自分の心までが空に浮かぶように上の空になってしまうと詠む歌である。遠く離れた恋人を思う心のよりどころのなさを、雲と空の縁語で表している。
詞書によれば、恋しく思う人を遠い所に残して詠んだ歌である。
作者の「源経基」は、清和天皇の皇子貞純親王の子で、清和源氏の祖とされる。武蔵介などを務め、平将門の乱や藤原純友の乱の平定に関わった。
初句「雲居なる」は、雲のかなたにいる、遠く隔たった、の意である。本巻の第八百九十一首の「雲居に高き」、次歌の第九百十首の「雲居に見ゆる」と、「雲居」を詠む点を共有している。
二句「人を遥かに」は、あの人をはるか遠くに、の意である。前歌の第九百八首の初句「遥かなる」と、遠く隔たった人を思う点を共有している。
三句「思ふには」は、思うときには、の意である。
四句「我が心さへ」は、私の心までも、の意で、「さへ」は添加を表す。人が雲居にいるのに加えて、自分の心までも、の意を込めている。
結句「空にこそなれ」は、上の空になってしまう、の意で、係助詞「こそ」を受けて已然形「なれ」で結んでいる。「雲居」と「空」は縁語である。本巻の第八百五十首の二句「心は空に」と、恋に心が浮き立つさまを「空」で表す点を共有している。
くもゐ:雲居。雲のある所。はるか遠い所
- 作者
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源経基
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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遥かなるほどにも通ふ心かな さりとて人の知らぬものゆゑ
- 次の歌
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よそにありて雲居に見ゆる妹が家に 早く至らむ歩め黒駒