遥かなるほどにも通ふ心かな
さりとて人の知らぬものゆゑ
- 歌の意味
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遠く隔たっていても、通っていく私の心であることよ。だからといって、あの人が知るわけでもないのに。
- 鑑賞
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巻第十四 恋歌四 908
詞書は前の歌に続き「題しらず」
遠く離れていても、私の心はあの人のもとへ通っていくが、だからといってあの人がそれを知るわけでもないのにと詠む歌である。思いは届いているはずなのに相手には伝わらない、片思いのむなしさを詠んでいる。
本巻の第九百六首から第九百八首まで、伊勢の歌が三首続く。いずれも逢えない人を遠く思う心を詠んでいる。
作者の「伊勢」は、平安時代前期から中期の女流歌人で、藤原継蔭の娘である。宇多天皇の中宮温子に仕え、のちに宇多天皇の寵愛を受けた。三十六歌仙に数えられる。
初句「遥かなる」は、遠く隔たった、の意である。次歌の第九百九首の二句「人を遥かに」と、遠く隔たった人を思う点を共有している。
二句「ほどにも通ふ」は、距離にも通っていく、の意で、「ほど」は隔たりの意である。
三句「心かな」は、心であることよ、の意で、「かな」は詠嘆を表す。ここで句切れとなる。
四句「さりとて人の」は、そうかといってあの人が、の意である。
結句「知らぬものゆゑ」は、知らないのに、の意で、「ものゆゑ」は逆接を表す。
かよふ:通ふ。行き来する。思いが届く
- 作者
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伊勢
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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思ひきやあひ見ぬほどの年月を 数ふばかりにならんものとは
- 次の歌
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雲居なる人を遥かに思ふには 我が心さへ空にこそなれ