思ひきやあひ見ぬほどの年月を
数ふばかりにならんものとは
- 歌の意味
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思っただろうか、いや思いもしなかった。逢わずにいる間の年月を、数えるほどになろうとは。
- 鑑賞
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巻第十四 恋歌四 907
詞書は前の歌に続き「題しらず」
逢わずにいる年月を指折り数えるほど長くなろうとは、思いもしなかったと詠む歌である。逢わない期間がいつの間にか年単位に及んでしまった驚きと嘆きを、初句の「思ひきや」で強く打ち出している。
本巻の第九百六首から第九百八首まで、伊勢の歌が三首続く。いずれも逢えない人を遠く思う心を詠んでいる。
作者の「伊勢」は、平安時代前期から中期の女流歌人で、藤原継蔭の娘である。宇多天皇の中宮温子に仕え、のちに宇多天皇の寵愛を受けた。三十六歌仙に数えられる。
初句「思ひきや」は、思っただろうか、いや思いもしなかった、の意で、「き」は過去の助動詞、「や」は反語を表す。ここで句切れとなる。
二句「あひ見ぬほどの」は、逢わずにいる間の、の意である。
三句「年月を」は、年月を、の意である。前歌の第九百六首の初句「年月の」と、年月を詠む点を共有している。
四句「数ふばかりに」は、数えるほどに、の意である。
結句「ならんものとは」は、なろうものとは、の意で、初句の「思ひきや」と倒置になっている。
あひみる:相見る。互いに顔を合わせる。逢う
- 作者
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伊勢
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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年月の行くらん方もおもほえず 秋のはつかに人の見ゆれば
- 次の歌
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遥かなるほどにも通ふ心かな さりとて人の知らぬものゆゑ