恋ひて経むと思ふ心のわりなさは
死にても知れよわすれがたみに
- 歌の意味
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恋い慕いながら生き続けようと思う心のどうしようもなさは、私が死んでからでも知ってほしい、忘れ形見として。
- 鑑賞
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巻第十二 恋歌四 820
詞書「つらかりける人のもとにつかはしける」
恋しながら生き続けようと思う心のどうしようもなさを、死んでからでも忘れ形見として知ってほしい、と詠んだ歌である。つれない相手を思い続ける苦しさを、自分の死後にでも分かってほしいと、激しい言葉で訴えている。
詞書によれば、つれなかった人のもとへ送った歌である。次歌の第八百二十一首は贈太政大臣による返しで、二首で贈答となっている。
作者の伊勢は、藤原継蔭の娘である。宇多天皇の中宮温子に仕え、宇多天皇の寵を受けた。のちに敦慶親王との間に中務をもうけた。三十六歌仙の一人である。
初句「恋ひて経む」は、恋しながら過ごそう、の意で、六音の字余りとなっている。「む」は意志を表す。
二句「思ふ心の」は、と思う心の、の意である。
三句「わりなさは」は、どうしようもなさは、の意である。
四句「死にても知れよ」は、死んでからでも知ってほしい、の意で、命令形で強く訴えている。
結句「わすれがたみに」は、忘れ形見として、の意で、「忘れ形見」に、忘れがたいので、の意の「忘れ難み」を掛けている。本巻の第八百二十二首も「かたみに」と同じ音を用いている。
わすれがたみ:「忘れ形見」と、忘れがたいので、の意の「忘れ難み」を掛ける
- 作者
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伊勢
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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住の江の目に近からば岸にゐて 波の数をもよむべきものを
- 次の歌
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もしもやとあひ見むことを頼まずは かく経るほどにまづぞ消なまし