いかにして今日を暮らさむ小余綾の
いそぎ出でてもかひなかりけり
- 歌の意味
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どのようにして今日一日を暮らせばよいのだろう。小余綾の磯ではないが、急いで出て来たのに、何のかいもなかったことだ。
- 鑑賞
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巻第十四 恋歌四 852
詞書「一条摂政、内にては便なし、里に出でよと言ひ侍りければ、人もなき所にて待ち侍りけるに、まうで来ざりければ」
急いで宮中から出て待っていたのに相手は来ず、何のかいもなかった、今日一日をどう暮らせばよいのかと嘆く歌である。相模の歌枕「小余綾の磯」から「いそぎ」を導き、「かひ」に磯の縁で貝を響かせて、待ちぼうけの落胆を詠んでいる。
詞書によれば、一条摂政藤原伊尹から、宮中では人目があって具合が悪いので里に下がっていよと言われ、人のいない所で待っていたが、伊尹は訪れなかった。言われるままに急いで退出したのに報われなかった、恨めしさと心細さが込められている。
作者の「小弐命婦」は少弐命婦である。滋野内侍とも呼ばれた宮廷の女房で、父や夫の官職の少弐にちなむ呼び名と考えられる。
初句「いかにして」は、どのようにして、の意で、途方に暮れた思いを示す。
二句「今日を暮らさむ」は、今日一日を暮らそうか、の意で、「む」は推量の助動詞である。ここで句切れとなる。
三句「小余綾の」は、相模国の歌枕である小余綾の磯をいい、「磯」と同音の「いそぎ」を導いている。
四句「いそぎ出でても」は、急いで出て来ても、の意で、「いそぎ」は小余綾の「磯」と「急ぎ」を掛けた掛詞である。
結句「かひなかりけり」は、かいがなかったことだ、の意で、「かひ」は「甲斐」と磯の縁語の「貝」を掛けている。「けり」は詠嘆を表す。
こゆるぎ:小余綾。相模国の海岸の地名で、歌枕
いそぎ:小余綾の磯の「磯」と、急ぐ意の「急ぎ」を掛ける
かひ:かいがある意の「甲斐」と、磯の縁語の「貝」を掛ける
まうでく:詣で来。参上する。訪れる
- 作者
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少弐命婦
- 出典
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拾遺和歌集
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白波のうちしきりつつ今宵さへ いかでか独り寝るとかや君
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