逢ふことのなげきの本を尋ぬれば
独り寝よりぞ生ひはじめける
- 歌の意味
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逢えないことの嘆きという木の根もとを尋ねてみると、それは独り寝から生え始めたのであった。
- 鑑賞
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巻第十五 恋歌五 952
詞書は前の歌に続き「題しらず」
逢えないことの嘆きの根本を尋ねてみると、独り寝から生え始めたのであった、と詠む歌である。嘆きを木に見立て、その根もとをたどると独り寝に行き着くという機知によって、恋人に逢えない夜の寂しさを詠んでいる。
作者の「藤原有時」は、平安時代の官人で、詳しい経歴は伝わっていない。
初句「逢ふことの」は、逢うことの、の意である。
二句「なげきの本を」は、嘆きの根もとを、の意で、「なげき」は「嘆き」に、薪にする木の「投げ木」の「木」を掛けた掛詞である。「本」は木の根もとの意で、結句の「生ひ」とともに「木」の縁語をなしている。本巻の第九百七十首の初句「なげきこる」と、同じ掛詞を共有している。
三句「尋ぬれば」は、尋ねてみると、の意である。
四句「独り寝よりぞ」は、独り寝から、の意で、係助詞「ぞ」が結句と係り結びをなしている。
結句「生ひはじめける」は、生え始めたのであった、の意で、詠嘆の助動詞「けり」の連体形「ける」で四句の「ぞ」を受けて結んでいる。
なげき:「嘆き」と、薪にする木の「投げ木」を掛ける
たづぬ:尋ぬ。たずね求める
おひはじむ:生ひ始む。生え始める
- 作者
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藤原有時
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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さもこそはあひ見むことの難からめ 忘れずとだに言ふ人のなき
- 次の歌
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おほかたの我が身ひとつの憂きからに なべての世をも怨みつるかな