君まさばまづぞ折らまし桜花
風のたよりに聞くぞ悲しき
- 歌の意味
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あなたが生きておいでならば、真っ先に折ってお見せしただろう桜の花よ。そのことを、風のたよりに聞くのが悲しい。
- 鑑賞
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巻第二十 哀傷 1278
詞書「この事を聞き侍りてのちに」
あなたが生きていたならば真っ先に折っただろう桜の花のことを、風のたよりに聞くのが悲しいと詠む歌である。詞書から、前の一連の、実頼が娘を亡くした翌年の春の歌のことを聞いた後に詠んだ歌とわかる。花盛りの桜を見せるべき人がもういないことを、花を散らす風の縁で「風のたより」と言いなし、人づてに聞く死の悲しみを伝えている。
作者の「大納言延光」は源延光である。醍醐天皇の皇子代明親王の子で、大納言に至った。
初句「君まさば」は、あなたがいらっしゃったならば、の意で、「ます」は尊敬語、「ば」は未然形について仮定を表す。
二句「まづぞ折らまし」は、真っ先に折っただろう、の意で、「まし」は反実仮想の助動詞である。係助詞「ぞ」を受けて連体形で結ぶ。
三句「桜花」は、桜の花、の意で、本巻の第千二百七十四首から第千二百七十七首の一連と、同じ桜を詠んでいる。ここで句切れとなる三句切れの歌である。
四句「風のたよりに」は、人づての知らせに、の意で、花を散らす風の縁で「風」を持ち出している。
結句「聞くぞ悲しき」は、聞くのが悲しい、の意で、係助詞「ぞ」を受けて形容詞の連体形「悲しき」で結ぶ係り結びである。
かぜのたより:風の便り。人づての知らせ
ます:座す。いらっしゃる
- 作者
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源延光
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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桜花匂ふものから露けきは このめも物を思ふなるべし
- 次の歌
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いにしへは散るをや人の惜しみけん 花こそ今は昔恋ふらし