年を経て同じ桜の花の色を
染めますものは心なりけり
- 歌の意味
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年月を重ねて、同じ桜の花の色を、いっそう深く染めまさってゆくものは、見る人の心であったのだなあ。
- 鑑賞
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巻第一 春歌上 63
詞書「賀茂社歌合とて人々よみ侍りける時、花の歌とてよめる」
賀茂社に奉納する歌合で人々が歌を詠んだ際、「花」を題として詠んだ歌である。桜の花は毎年同じ色に咲くはずなのに、年を経るごとにその色がいっそう深く美しく見えるのは、花そのものではなく、見る人の心が花の色を染め重ねてゆくからなのだと詠む。花の美しさを見る側の心の深まりに求めた点に趣がある。
作者の「藤原公時朝臣」は平安末期の公卿歌人である。
初句「年を経て」は、年月を重ねて、の意である。
二句「同じ桜の」は、毎年変わらず咲く同じ桜の、の意である。
三句「花の色を」は六音の字余りである。
四句「染めますものは」の「染めます」は、染めていっそう色を深める意である。本巻の第五十五首は桜が人の心を染めて年ごとに色がまさると詠んだが、本歌は逆に人の心が花の色を染めまさるとしており、染める側と染められる側が反転した対をなす。
結句「心なりけり」は、前歌の第六十二首と同じ結句で、気づきの詠嘆を表す。
そめます:染めていっそう色を深める
- 作者
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藤原公時
- 出典
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千載和歌集
- 前の歌
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花ゆゑに知らぬ山路はなけれども 惑ふは春の心なりけり
- 次の歌
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花盛り四方の山辺にあくがれて 春は心の身に添はぬかな