時鳥またもや鳴くと待たれつつ
聞く夜しもこそ寝られざりけれ
- 歌の意味
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時鳥がもう一度鳴くかと、つい待たれてしまい、声を聞いた夜にかぎって、かえって眠れないのだった。
- 鑑賞
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巻第三 夏歌 153
詞書「題しらず」
時鳥の声を聞いた夜はそれで満足して眠れるかと思えば、もう一度鳴くかと自然に待たれてしまい、聞いた夜にかぎってかえって眠れない、と詠む。待つ夜に眠れないのは当然として、聞いた夜こそ眠れないという逆説によって、時鳥の声への尽きない執着を表している。
作者の「刑部卿頼輔母」は刑部卿藤原頼輔の母である。賀茂神主賀茂成継の娘で、大納言藤原忠教との間に頼輔をもうけた。
初句「時鳥」は、一首の主題を示す。
二句「またもや鳴くと」の「や」は疑問で、また鳴くかと、の意である。
三句「待たれつつ」の「れ」は自発の助動詞「る」の連用形、「つつ」は反復継続を表し、自然と待たれてしまい、の意となる。
四句「聞く夜しもこそ」の「しも」は強意の副助詞、「こそ」は係助詞で、結句の「けれ」と係り結びをなす。声を聞いた夜にかぎって、と強調する。本巻の第百四十九首が聞けずに寝ない夜を詠んだのに対し、本歌は聞いた夜こそ眠れないと詠む。
結句「寝られざりけれ」の「られ」は可能の助動詞「らる」の未然形、「ざり」は打消の助動詞、「けれ」は「けり」の已然形で、「こそ」の結びとなる。
ぬ:寝る、眠る
- 作者
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藤原頼輔母
- 出典
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千載和歌集
- 前の歌
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寝覚めするたよりに聞けば時鳥 つらき人をも待つべかりけり
- 次の歌
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待たで聞く人に問はばや時鳥 さても初音やうれしかるらん