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待たで聞く人に問はばや時鳥
さても初音やうれしかるらん

歌の意味
待ちもしないで聞いた人に尋ねてみたい。時鳥の初音は、それでもやはりうれしいものなのだろうか、と。
鑑賞
巻第三 夏歌 154

詞書「題しらず」
 時鳥を待ちわびることもなく、たまたまその声を聞いた人に尋ねてみたい、待たずに聞いても、やはり初音はうれしいものなのだろうか、と詠む。待ちに待って聞く初音の喜びを知る者の立場から、待たずに聞く人の心を推し量る形で、待つことによって深まる初音の喜びを逆説的に表している。
 作者の「覚盛法師」は伝の詳らかでない僧である。

 初句「待たで聞く」の「で」は打消の接続助詞で、待たずに聞く、の意である。前の歌々が待つ心を詠んだのに対し、本歌は待たずに聞く人を詠む。
 二句「人に問はばや」の「ばや」は願望の終助詞で、尋ねてみたい、の意である。ここで句切れとなる。
 三句「時鳥」は、四句の「初音」の主を示す。
 四句「さても初音や」の「さても」は、それでもやはり、の意で、「や」は疑問の係助詞で、結句の「らん」と係り結びをなす。
 結句「うれしかるらん」の「らん」は現在推量の助動詞の連体形で、「や」の結びとなる。

はつね:その年初めて聞く鳥の鳴き声
とふ:尋ねる
作者
覚盛
出典
千載和歌集
前の歌
時鳥またもや鳴くと待たれつつ 聞く夜しもこそ寝られざりけれ
次の歌
尋ねても聞くべきものを時鳥 人頼めなる夜半の一声