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寝覚めするたよりに聞けば時鳥
つらき人をも待つべかりけり

歌の意味
夜中に目を覚ましたついでに聞くと、時鳥が鳴いている。こうしてみると、薄情な人であっても、寝ずに待つべきだったのだ。
鑑賞
巻第三 夏歌 152

詞書「題しらず」
 恋人を待って眠れずにいる夜の寝覚めのおかげで、時鳥の声を聞くことができたので、つれない人を待つことにもよいことがあった、待つべきだったのだ、と詠む。恋の待つ苦しさを時鳥を聞く喜びへと転じた機知の歌で、恋の心と夏の景物とを重ね合わせている。
 作者の「康資王母」は四条宮筑前とも呼ばれた女房である。筑前守高階成順の娘で、母は伊勢大輔である。後冷泉天皇の皇后四条宮藤原寛子に仕え、康資王の母であることからこの名で呼ばれる。

 初句「寝覚めする」は、夜中に目を覚ます、の意である。
 二句「たよりに聞けば」の「たより」はついで、きっかけの意で、已然形に「ば」が付いた確定条件となる。寝覚めのついでに聞くと、の意である。
 三句「時鳥」は、聞こえてきた時鳥の声をいう。ここで句切れとなる。
 四句「つらき人をも」の「つらき人」は、薄情な人、つれない恋人をいう。前歌の第百五十一首「待つ人からか」と同じく、時鳥を待つ心と人を待つ心とが重なる。
 結句「待つべかりけり」の「べかり」は当然、「けり」は気づきを表す。つれない人を待って寝覚めがちになることにもよいことがあった、と今さらに気づく心を示す。

ねざめ:夜中に目を覚ますこと
たより:ついで、きっかけ
作者
康資王母
出典
千載和歌集
前の歌
あやしきは待つ人からか時鳥 鳴かぬにさへも濡るる袖かな
次の歌
時鳥またもや鳴くと待たれつつ 聞く夜しもこそ寝られざりけれ