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せきとむる山下水に水隠れて
すみけるものを秋のけしきは

歌の意味
せき止めた山の下を流れる水の中に隠れて、住んでいたのだなあ、秋の気配は。その水は、秋のように澄みきっていた。
鑑賞
巻第三 夏歌 214

詞書「泉辺納涼といへる心をよめる」
 「泉辺納涼(泉のほとりの納涼)」という題で詠んだ歌である。せき止めた山陰の水に涼んでいると、その水の中に、まだ来ないはずの秋の気配が隠れ住んでいたのだと気づく、と詠む。「すみ」に「住み」と「澄み」とを掛け、澄んだ冷たい水に秋が潜んでいたという発見によって、泉のほとりの涼しさを表している。清水の一連はここで結ばれる。
 作者の「法眼実快」は法眼の位にあった僧である。詳しい伝は明らかでない。

 初句「せきとむる」は、流れをせき止めた、の意である。本巻の第二百十二首「せきとめて」と同じく、清水をせき止める。
 二句「山下水に」の「山下水」は、山の下を流れる水、山陰の水をいう。
 三句「水隠れて」は、水の中に隠れて、の意である。
 四句「すみけるものを」の「すみ」は、秋の気配が「住み」ついていた意と、水が「澄み」きっていた意とを掛ける。「ものを」は詠嘆である。ここで句切れとなる。
 結句「秋のけしきは」は、秋の気配は、の意で、四句と倒置の関係にある。本巻の第二百七首の秋風に続き、夏の中に秋を見いだす歌である。

すむ:秋の気配が「住む」意と、水が「澄む」意を掛ける
やましたみづ:山の下を流れる水
みがくる:水の中に隠れる
作者
実快
出典
千載和歌集
前の歌
さらぬだに光涼しき夏の夜の 月を清水に宿してぞ見る
次の歌
我ながらほどなき夜はや惜しからむ なほ山の端に有明の月