よそ人に問はれぬるかな君にこそ
見せばやと思ふ袖の雫を
- 歌の意味
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関わりのない人に尋ねられてしまったことだ。あなたにこそ見せたいと思っている、この袖の涙の雫を。
- 鑑賞
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巻第十一 恋歌一 699
詞書は前の歌に続き「恋の歌とて詠み侍りける」
前の歌と同じ詞書のもとの恋の歌である。他人に尋ねられてしまった、あなたにこそ見せたいと思う袖の雫を、と詠む。恋の涙に濡れた袖を、肝心の相手は気にもかけず、関わりのない人に見とがめられてしまった皮肉とやるせなさを詠んでいる。
作者の「法眼実快」は法眼の僧位にあった僧である。経歴の詳細は多く伝わらない。
本巻の第六百八十六首も涙を「雫」と詠む。
初句「よそ人に」の「よそ人」は、自分と関わりのない他人である。
二句「問はれぬるかな」の「れ」は受身、「ぬる」は完了の助動詞「ぬ」の連体形、「かな」は詠嘆で、尋ねられてしまったことだ、の意である。ここで句切れとなり、倒置の関係にある。
三句「君にこそ」は、あなたにこそ、の意で、初句の「よそ人」と対をなす。
四句「見せばやと思ふ」は字余りで、「ばや」は自己の希望を表す終助詞である。見せたいと思う、の意である。
結句「袖の雫を」の「雫」は涙のたとえで、「を」で終わって二句へ返る。第六百八十六首の結句「雫なりけり」と同じ語である。
よそびと:自分と関わりのない人
しづく:したたり落ちる水。涙のたとえ
ほふげん:僧位の一つ
- 作者
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実快
- 出典
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千載和歌集
- 前の歌
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つれなさに言はで絶えなんと思ふこそ 逢ひ見ぬ先の別れなりけれ
- 次の歌
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つれなくぞ夢にも見ゆるさ夜衣 うらみんとては返しやはせし