夕霧や秋のあはれをこめつらむ
分け入る袖に露の置きそふ
- 歌の意味
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夕霧が、秋の哀れをその中に立ちこめ包み込んでいるのだろうか。霧の中に分け入ってゆく袖に、露が置き加わってゆく。
- 鑑賞
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巻第五 秋歌下 343
詞書「霧の歌とてよめる」
「霧の歌」として詠んだ歌である。夕霧が秋の哀れを中に包み込めているのだろうか、霧の中に分け入ってゆくと、袖に露が置き加わってゆく、と詠む。霧の中に入ると袖が露に濡れるという実感を、霧に閉じこめられていた秋の哀れが袖に移って涙の露となるのだと見なし、目に見えない「あはれ」を露として形にしている。
作者の「法橋宗円」は法橋の僧位にあった僧であるが、詳しい伝は明らかでない。
初句「夕霧や」の「や」は疑問の係助詞で、三句の「らむ」と連体形で結ぶ。夕方に立つ霧を示す。
二句「秋のあはれを」の「あはれ」は、しみじみと心を動かされる思いである。
三句「こめつらむ」の「こむ」は、霧が立ちこめる意と、中に包み込める意を掛ける掛詞である。「らむ」は現在推量で、ここで句切れとなる。
四句「分け入る袖に」は、霧の中に分け入ってゆく袖に、の意である。
結句「露の置きそふ」の「置きそふ」は、露がさらに置き加わる意である。袖の露は涙をも思わせ、霧に包まれていた哀れが露となって袖に移ったと見る。
こむ:霧が立ちこめる意と、中に包み込める意を掛ける
おきそふ:露がさらに置き加わる
わけいる:草や霧などを押し分けて中に入る
- 作者
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宗円
- 出典
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千載和歌集
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衣打つ音を聞くにぞ知られぬる 里遠からぬ草枕とは
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秋深みたそかれ時の藤袴 匂ふは名のる心地こそすれ