峰越えに楢の葉伝ひおとづれて
やがて軒端に時雨来にけり
- 歌の意味
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峰を越えて、楢の葉を伝いながら音を立てて訪れ、そのまま軒端に時雨がやって来たことだ。
- 鑑賞
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巻第六 冬歌 416
詞書「山家時雨といへる心をよめる」
山家時雨の題で詠んだ歌である。峰を越えて、楢の葉を伝いながら音を立てて訪れ、そのまま軒端に時雨がやって来た、と詠む。山の向こうから近づいてくる時雨の動きを、楢の葉を打つ音の移りによってとらえ、山の住まいに時雨が訪れる瞬間を描いている。
作者の「源仲頼」は院政期の歌人であるが、詳しい伝は明らかでない。
本巻の第四百十四首と「やがて」「軒端」という語を共有する。第四百十四首が時雨の去ったあとに軒端から差し込む月を詠むのに対し、本歌は軒端に時雨が来るまでを詠み、時雨の去来を逆の向きからとらえている。
初句「峰越えに」は、峰を越えて、の意で、時雨が山の向こうからやって来ることを示す。
二句「楢の葉伝ひ」は、楢の葉から葉へと伝って、の意である。本巻の第四百一首の「楢の広葉に時雨降るなり」と同じく、楢の葉を打つ時雨の音を詠む。
三句「おとづれて」は、音を立てる意の「音連る」と、訪れる意の「訪る」とを掛ける掛詞である。
四句「やがて軒端に」の「やがて」は、そのまま、すぐに、の意である。本巻の第四百十四首の「やがて差し入る」「軒端」と同じ語である。
結句「時雨来にけり」の「けり」は詠嘆の助動詞で、時雨がやって来たのだ、と気づきを示す。
みねごえ:峰を越えること
おとづる:音を立てる意と、訪れる意を掛ける
のきば:軒の端
- 作者
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源仲頼
- 出典
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千載和歌集
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玉梓に涙のかかる心地して 時雨るる空に雁の鳴くなる
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暁の寝覚めに過ぐる時雨こそ 漏らでも人の袖濡らしけれ