旅寝する木の下露の袖にまた
時雨降るなり小夜の中山
- 歌の意味
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旅寝をする木の下の露に濡れた袖に、さらに時雨が降る音がする。小夜の中山では。
- 鑑賞
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巻第八 羈旅歌 538
詞書「旅の歌とてよめる」
旅の題で詠んだ歌である。旅寝をする木の下の露に濡れた袖に、さらに時雨が降る音がする、小夜の中山では、と詠む。木の下の露に濡れるだけでも寂しい旅寝の袖に、時雨までもが降りかかる、山中の旅のわびしさを表している。
作者の「律師覚弁」は藤原俊成の子の僧である。律師は僧の位の一つである。
初句「旅寝する」は、旅寝をする、の意である。本巻の第五百三十六首、第五百三十九首も同じ「旅寝する」で始まる。
二句「木の下露の」の「木の下露」は木の枝葉から落ちる露で、旅の涙をも思わせる。
三句「袖にまた」の「また」は、露に加えてさらに、の意である。本巻の第五百二十八首も同じ「袖にまた」の句をもつ。
四句「時雨降るなり」の「なり」は聴覚による推定の助動詞で、時雨が降る音がする、の意である。ここで句切れとなる。
結句「小夜の中山」は遠江国の峠の歌枕で、体言止めとする。本巻の第五百二首も同じ「小夜の中山」を結句とし、第五百二首が初雪を詠むのに対し、本歌は時雨を詠む。
このしたつゆ:木の枝葉から落ちる露
さよのなかやま:遠江国の峠で、東海道の難所の歌枕
- 作者
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覚弁
- 出典
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千載和歌集
- 前の歌
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かくしつつつひに泊まらむ蓬生の 思ひ知らるる草枕かな
- 次の歌
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旅寝する庵を過ぐるむら時雨 名残までこそ袖は濡れけれ