掘り植ゑし若木の梅に咲く花は
年も限らぬ匂ひなりけり
- 歌の意味
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掘って植えた若木の梅に咲く花は、年も限りのない香りであったことだ。
- 鑑賞
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巻第十 賀歌 612
詞書「鳥羽院位降りさせ給うてのころ、庭花年久といへる心をこれかれ仕うまつりけるに、詠み侍りける」
鳥羽天皇が譲位して間もない頃、「庭の花、年久し」という題で人々が歌を詠んだ折の歌である。掘って植えた若木の梅に咲く花は、年も限らない香りであった、と詠む。植えたばかりの若木の梅を、これから先限りなく花を咲かせ香りを放つものと見て、譲位した院の行く末の長さを祝っている。鳥羽天皇の譲位は保安四年(1123)である。
作者の「大納言忠教」は摂政関白藤原師実の子である。大納言に至り、難波家、飛鳥井家の祖とされる。
前歌の第六百十一首が咲き初めの桜、本歌が若木の梅を詠み、ともにこれからの年月の長さを花に託している。
初句「掘り植ゑし」の「し」は過去の助動詞「き」の連体形で、掘って植えた、の意である。
二句「若木の梅に」は、植えて間もない若い梅の木に、の意である。
三句「咲く花は」は、その梅に咲く花は、の意である。
四句「年も限らぬ」は、年数も限りのない、の意で、題の「年久し」を受ける。本巻の第六百六首「限らざりける」、第六百二十七首「限らぬ」と共通する言い回しである。
結句「匂ひなりけり」の「匂ひ」は花の香り、または色の美しさをいう。「けり」は気づきの詠嘆で、香りであったことだ、の意である。
にほひ:花の香り、色つやの美しさ
くらゐおる:天皇が位を退く、譲位する
これかれ:あの人この人、人々
- 作者
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藤原忠教
- 出典
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千載和歌集
- 前の歌
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千歳まで折りて見るべき桜花 梢遥かに咲き初めにけり
- 次の歌
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千歳すむ池の汀の八重桜 影さへ底に重ねてぞ見る