- 歌の意味
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神域の瑞垣のもとの桂を移し植えた宿であるから、桂と縁の深い月を、この宿で眺めることは久しく続くにちがいない。
- 鑑賞
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巻第十 賀歌 632
詞書「橘俊綱朝臣の伏見の家に、桂を掘り植ゑさせ侍りけるに、詠める」
橘俊綱が伏見の邸に桂の木を掘って植えさせた時に詠んだ歌である。瑞垣の桂を移し植えた宿なので、月を見ることは久しく続くであろう、と詠む。月の中には桂の木が生えているという中国の伝えから、桂は月と結びつく木であった。神域の瑞垣のもとの桂を移し植えた邸は、末永く月を眺める宿になると詠み、邸の主の長寿と繁栄を祝っている。桂は賀茂祭で葵とともに飾られる木でもある。
作者の「賀茂成助」は賀茂別雷神社の神主を務めた神官で、平安時代中期の歌人である。
次歌の第六百三十三首も橘俊綱にかかわる祝いの歌である。
初句「瑞垣の」の「瑞垣」は神社の周囲にめぐらした垣で、神域を表す。
二句「桂を移す」は、桂の木を移し植える、の意である。月には桂の木があるという伝えにより、桂は月と縁が深い。
三句「宿なれば」は、宿であるから、の意で、已然形に「ば」が付いた確定条件である。
四句「月見んことぞ」の「ん」は推量の助動詞「む」の連体形、「ぞ」は強意の係助詞で、結句の「べき」と連体形で結ぶ。二句の「桂」と「月」が縁語となる。
結句「久しかるべき」の「べき」は推量の助動詞「べし」の連体形で、四句の「ぞ」を受けて結ぶ。久しく続くにちがいない、の意である。本巻の第六百三十五首の結句「久しかるべし」と共通する。
みづがき:神社の周囲にめぐらした垣
かつら:落葉高木の桂。月の中に生えるという伝えがある
- 作者
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賀茂成助
- 出典
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千載和歌集
- 前の歌
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群れてゐる鶴の気色にしるきかな 千歳すむべき宿の池水
- 次の歌
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君が代に比べて言はば松山の 松の葉数は少なかりけり