おのづからつらき心も変はるやと
待ち見むほどの命ともがな
- 歌の意味
-
時がたてば自然と、あの人のつれない心も変わるだろうかと、それを待って見届けられるほどの命があればよいのに。
- 鑑賞
-
巻第十二 恋歌二 770
詞書は前の歌に続き「恋歌とて詠める」
前歌と同じく恋の歌として詠んだ歌である。自然とつれない心も変わるかと、待ち見届けるほどの命であってほしい、と詠む。今は冷たい相手の心も、いつかはひとりでに変わるかもしれないと望みをかけ、その時まで生き長らえたいと願う、恋の苦しさに命の尽きそうな思いを表している。
作者の「静縁法師」は平安時代末期の僧である。鴨長明の「無名抄」にもその名が見える。
本巻の第七百三十一首は命の支えとなる言葉を求め、本歌は心変わりを待つ命を求めており、恋のために命をつなぎたいという願いが繰り返し詠まれている。
初句「おのづから」は、自然と、ひとりでに、の意である。
二句「つらき心も」は、あの人のつれない心も、の意である。
三句「変はるやと」の「や」は疑問で、変わるだろうかと、の意である。
四句「待ち見むほどの」は、待って見届けるほどの、の意である。
結句「命ともがな」の「もがな」は願望の終助詞で、命であってほしい、の意である。本巻の第七百三十一首の四句「命とならむ」と同じく、恋のための命を詠む。
まちみる:待って見届ける
- 作者
-
静縁
- 出典
-
千載和歌集
- 前の歌
-
思ひせく心の内のしがらみも 堪へずなりゆく涙川かな
- 次の歌
-
忘らるる憂き名はさても立ちにけり 心の内は思ひ分くとも