思ひせく心の内のしがらみも
堪へずなりゆく涙川かな
- 歌の意味
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恋の思いをせき止めている心の中のしがらみさえも、持ちこたえられなくなっていく涙の川であることよ。
- 鑑賞
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巻第十二 恋歌二 769
詞書は前の歌に続き「恋歌とて詠める」
前歌と同じく恋の歌として詠んだ歌である。思いをせき止める心の内のしがらみも、持ちこたえられなくなっていく涙川であることよ、と詠む。恋の思いを人に知られまいと心の内でせき止めてきたが、あふれる涙の川の勢いに、そのしがらみも耐えきれなくなっていくと、忍ぶ恋の限界を表している。
作者の「藤原親盛」は平安時代末期の官人、歌人である。経歴の詳細は多く伝わらない。
本巻の第七百二十三首は、涙の川の早瀬には逢うよりほかにしがらみがないと詠み、本歌と同じく涙の川としがらみを詠む。第七百二十三首が逢瀬こそが涙を止めるしがらみだとするのに対し、本歌は心の内のしがらみも涙に耐えきれないと詠み、同じ見立てで対をなしている。
初句「思ひせく」は、恋の思いをせき止める、の意で、二句以下にかかる。
二句「心の内の」は、心の中の、の意である。
三句「しがらみも」の「しがらみ」は川の流れをせき止めるために杭を打ち、柴や竹を絡めたもので、思いを抑える心のたとえである。本巻の第七百二十三首の結句「しがらみぞなき」と同じ語を用いる。
四句「堪へずなりゆく」は、持ちこたえられなくなっていく、の意である。
結句「涙川かな」の「涙川」は流れる涙の多さを川に見立てた語で、「かな」は詠嘆の終助詞である。第七百二十三首の二句「涙の川の」と同じ見立てである。
おもひせく:恋の思いをせき止める
しがらみ:川の流れをせき止めるため、杭を打って柴や竹を絡めたもの
なみだがは:流れる涙の多さを川に見立てた語
- 作者
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藤原親盛
- 出典
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千載和歌集
- 前の歌
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恋ゆゑはさもあらぬ人ぞ恨めしき 我よそならば問はましものを
- 次の歌
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おのづからつらき心も変はるやと 待ち見むほどの命ともがな