琴の音を雪に調ぶと聞こゆなり
月冴ゆる夜の峰の松風
- 歌の意味
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琴の音を雪に合わせて奏でているかのように聞こえることだ。月の冴えわたる夜の、峰を吹く松風は。
- 鑑賞
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巻第十六 雑歌上 1002
詞書「月の歌とて詠み侍りける」
月の歌として詠んだ歌である。琴の音を雪に合わせて奏でていると聞こえる、月の冴える夜の峰の松風は、と詠む。冴えた月の光に白く照らされた峰を雪に見立て、そこを吹く松風の音を琴の調べとして聞いている。光と音を重ね合わせた、冷たく澄んだ冬の月夜の景である。
作者の「道性法親王」は皇族から出家して法親王となった僧である。
松風を琴の音にたとえるのは古くからの趣向で、『拾遺和歌集』の斎宮女御徽子の「琴の音に峰の松風かよふらしいづれのをより調べそめけん」が知られる。また本巻の第九百六十首が笛の音と松風を詠んだのに対し、本歌は琴の音と松風を詠んでいる。
初句「琴の音を」は、琴の音色を、の意で、結句の「松風」をたとえている。
二句「雪に調ぶと」の「調ぶ」は、楽器を奏でる、調子を合わせる意で、雪に合わせて奏でる、の意である。雪は月光に白く照らされた峰の見立てでもある。
三句「聞こゆなり」の「なり」は伝聞推定の助動詞で、聞こえることだ、の意である。ここで句切れとなり、以下は倒置となっている。本巻の第九百六十首の三句「聞こゆなる」と応じる。
四句「月冴ゆる夜の」は、月の光が冷たく澄みわたる夜の、の意である。
結句「峰の松風」は、峰の松を吹く風で、体言止めとなっている。本巻の第九百六十首の四句「岸の松風」と応じる。
しらぶ:楽器を奏でる、調子を合わせる
まつかぜ:松の梢を吹く風
さゆ:冷たく澄みわたる
- 作者
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道性法親王
- 出典
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千載和歌集
- 前の歌
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木の間もる有明の月の送らずは ひとりや山の峰を出でまし
- 次の歌
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飽かで入らん名残をいとど思へとや 傾くままに澄める月かな