もろともに秋をや偲ぶ霜枯れの
荻の上葉を照らす月影
- 歌の意味
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月も私とともに過ぎ去った秋を偲んでいるのだろうか。霜枯れした荻の上葉を照らしている月の光は。
- 鑑賞
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巻第十六 雑歌上 1016
詞書「月照寒草といへる心を詠める」
「月、寒草を照らす」という題で詠んだ歌である。ともに秋を偲んでいるのだろうか、霜枯れの荻の上葉を照らす月の光は、と詠む。秋には風にそよいで趣深かった荻も、今は霜に枯れてしまったが、その上葉を照らす月の光を見て、月もまた自分とともに過ぎた秋を懐かしんでいるのかと感じている。
作者の「紀康宗」は平安時代後期の歌人で、伝記の詳細は明らかでない。
本巻の第九百九十五首の初句「もろともに」と同じ句で始まる。第九百九十五首がかつて共に月を見た人を思うのに対し、本歌は月とともに過ぎた秋を偲んでいる。
初句「もろともに」は、一緒に、の意で、月と自分が共に、という含みがある。本巻の第九百九十五首の初句と同じ句である。
二句「秋をや偲ぶ」の「や」は疑問の係助詞で、過ぎ去った秋を偲んでいるのだろうか、の意である。ここで句切れとなる。
三句「霜枯れの」は、霜にあって枯れた、の意で、冬の訪れを表す。
四句「荻の上葉を」は、荻の上のほうの葉を、の意である。荻は秋風にそよぐ音で秋を代表する草とされた。
結句「照らす月影」は、照らしている月の光で、倒置の体言止めとなっている。
をぎ:水辺に生えるイネ科の草で、秋風にそよぐ音が詠まれた
うはば:草木の上のほうの葉
しもがる:霜にあって草木が枯れる
しのぶ:過ぎたことを懐かしく思う
- 作者
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紀康宗
- 出典
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千載和歌集
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あしひきの山の端近く住むとても 待たでやは見る有明の月
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真菅生ふる山下水に宿る夜は 月さへ草の庵をぞさす