引く人もなくて捨てたる梓弓
心強きもかひなかりけり
- 歌の意味
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引く人もなくて捨て置かれた梓弓のように、引き立ててくれる人もない身では、心の強さも何のかいもないことだ。
- 鑑賞
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巻第十七 雑歌中 1086
詞書「題知らず」
引く人もなくて捨てられた梓弓のように、心の強さもかいのないことだ、と詠む。どれほど張りの強い弓でも、引く人がいなければ用をなさず捨て置かれる。それと同じように、どれほど志を強く持っていても、引き立ててくれる人がいなければ何の役にも立たないと、我が身を弓にたとえて不遇を嘆いている。
作者の「菅原是忠」は菅原氏の出身の平安時代後期の歌人で、伝記の詳細は明らかでない。
前歌の第千八十五首に続き、題知らずの述懐の歌である。また次歌の第千八十七首の三句「引きとめて」と「引く」を共有する。
初句「引く人も」の「引く」は、弓を引く意と、人を引き立てる意を重ねている。次歌の第千八十七首の三句「引きとめて」と「引く」を共有する。
二句「なくて捨てたる」は、いなくて捨て置かれた、の意である。
三句「梓弓」は梓の木で作った弓で、我が身をたとえている。
四句「心強きも」は、弓の張りの強さと意志の強さを重ね、心が強くても、の意である。
結句「かひなかりけり」の「けり」は詠嘆で、何のかいもないことだ、の意である。
あづさゆみ:梓の木で作った弓
ひく:弓を引く意と、人を引き立てる意を重ねる
- 作者
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菅原是忠
- 出典
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千載和歌集
- 前の歌
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世の憂さを思ひしのぶと人も見よ かくてふるやの軒の気色を
- 次の歌
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いかで我ひまゆく駒を引きとめて 昔に返る道を尋ねん