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分けわびて厭ひし庭の蓬生も
かれぬと思ふはあはれなりけり

歌の意味
分けて通るのに難儀して嫌っていた庭の蓬の茂みも、すっかり枯れて、人の訪れも離れてしまったと思うと、しみじみと哀れなことだ。
鑑賞
巻第十七 雑歌中 1145

詞書「題知らず」
 分けかねて嫌っていた庭の蓬の茂みも、枯れてしまったと思うと哀れなことだ、と詠む。かつては生い茂って通る人を難儀させ、うとましく思っていた庭の蓬も、冬になって枯れてしまうと、かえってしみじみと哀れに思われる。「かれ」には、蓬が「枯れ」る意と、人の訪れが「離れ」る意を掛け、荒れた庭の寂しさに、訪れる人もなくなった身の孤独を重ねている。
 作者の「法眼兼覚」は平安時代後期の僧で、法眼の位にあった。伝記の詳細は明らかでない。
 本巻の第千百二首が葎の茂る荒れた御所を詠むのと、荒れた庭の景を詠む点で通う。

 初句「分けわびて」は、分けて進むのに困って、の意である。
 二句「厭ひし庭の」は、うとましく思っていた庭の、の意である。
 三句「蓬生も」は、蓬などが生い茂って荒れた所も、の意である。本巻の第千百二首の四句「むぐらの門を」と、荒れた住まいの草を詠む点で通う。
 四句「かれぬと思ふは」の「かれ」は、「枯れ」と「離れ」を掛ける掛詞で、蓬が枯れたことと、人の訪れが絶えたことを重ねている。
 結句「あはれなりけり」の「けり」は詠嘆で、しみじみと哀れなことだ、の意である。

よもぎふ:蓬などが生い茂って荒れた所
かる:「枯る」と「離る」を掛ける
わけわぶ:分けて進むのに困る
作者
兼覚
出典
千載和歌集
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鳥辺山君尋ぬとも朽ち果てて 苔の下には答へざらまし
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